上の写真は、築21年の9階建て中古マンションの6階のとある部屋の収納内の写真です。見てわかるように収納内の壁が色あせていますね。これは、結露による水染み跡と診断した事例です。
この収納の配置は、建物北側に配置されていました。よって、冬場収納内で結露が発生したことが原因だと容易に想像できたわけですが、直ぐに結露が原因だと断定することはよろしくありません。
ひょっとすると外壁から雨水が浸入したことによる水染み跡かもしれないため、その可能性の有無も調査する必要があります。部屋の窓から収納部分の外壁を目視確認すると、特に外壁にクラックやコーキング目地の破断、外壁タイルの異常が確認できなかったため、”結露”が原因の可能性があると診断しました。
そもそも、建物の北側は特に冬場気温が下がると、押入れやクローゼットの中が大変冷えやすくなります。そこに、暖房で暖められた室内の空気が流入すると、結露が発生してしまうのです。
また写真でもわかるように、床に近い壁がかなり傷んでいます。これは床コンクリートが冷えたことが原因で、更に結露を助長させたのかもしれません。こうして、マンション等の鉄筋コンクリート造の北側の外壁や床は冷えやすい為、躯体(コンクリートの壁や床)をしっかり断熱処理させておかないと、収納内では結露が発生しやすくなります。
特に押入れやクローゼット、下足収納の背後が外壁になっているケースは要注意です。外気の影響で空気が冷やされ、室温との温度差は大きくなり、結露の可能性は高まります。
一度結露した収納空間は、湿気がたまりやすい環境になっており、冬場毎日のように結露していると考えて間違いないでしょう。カビの温床にもなるので、購入した際はこまめな拭き掃除や換気を心掛けましょう。
内覧時、特に外壁に接する収納内を確認し、結露痕がないかをチェックしておくことは必須です。