今日は、数年前私が建築中に実施した住宅検査であった現場のとんでもない話を紹介します。
当時、お客様から『そろそろ着工します。』との御連絡をいただき、一度現場を確認しておこうと思い現場へ立ち寄ってみたときのことです。
現場に付くと道路側には一部仮囲いがされ、いつでも着工できる状態になっていました。
現場内に入ると、建物の配置がわかる様に赤いビニール紐、いわゆる『地縄張り』がされている状態です。
『地縄張り』とは、これから建てようとする建物のおおよその位置を建築主に確認してもらうために縄を張ることをいいます。今は昔ながらの“わら縄”ではなくビニール紐等が使用されることが多い様です。
ハウスメーカーが事前に位置を出し、建築主に地鎮祭の時に建物配置を確認して貰うために行うことが一般的です。
「早めに現場監督さんに連絡を入れ基礎の配筋検査の日程を決めなければならないなぁ。。。」と思っていた矢先の出来事でした。。。
現場を訪れたとき、図面を持参していたので、建物の配置を確認するためスケールを車から取出し、現地と図面と照らし合わせてみたのです。
すると、、、『ん?違う!!』
なんと、建物の位置が違っていたのです!
2度3度確認しましたが違っています。『建物の配置が変わったのかな?』と思いお客様に電話で確認してみました。
私:「○○さん、建物配置が図面と違っていますけど変更しましたか?」
お客様:「変更してませんけど。。。」
私:「地縄張り、確認しましたよねぇ。」
お客様:「はい。」
私:「建物の位置が北へ50㎝くらいずれていますよ。。。」
お客様:「えっ!?そうなんですか?どおりで南側の庭が広く感じた訳だ。。。」
私:「再度、ハウスメーカーさんに確認してもらってください。」
お客様:「はい、わかりました。ありがとうございます!!」
それから、基礎の配筋検査に訪れた際、建物配置を確認したところ図面と同じ位置に配置されていました。『あーよかった。。。』と胸を撫でおろしたことを今でも思い出します。
もし、現場の場所を確認することをしなかったなら、建物は50㎝北にズレたまま建てられてしまったかもしれません。考えるだけで『ぞッ』とします。
今回、何故こうした間違いが発生してしまったか。。。
1.図面は詳細に書いてあるが、どの境界杭を基準に建物が配置されているか明示されていない・・・間違いが起こりやすい図面であった。
2.施工会社の現場監督さんが一人で地縄張りをした・・・地縄張りは二人以上で行い、2重3重のチェックを行う。
3.お客様が自らスケールをあてて寸法を確認しなかった・・・施工会社まかせにせず、建築主もしっかりチェックを行う。
上記のような点が不足していたのでしょう。
建物配置は、工事のとっかかり部分では一番重要です。配置を間違えそのまま建物が建ってしまったら、違法建築物になる可能性がありますし、変更確認申請を出さなければならなくなったりと様々なトラブルの原因になってしまいます。
こうした建物配置のミスは意外と多いのです。これから住宅着工を向える方は、自分でもしっかりチェックすることをお勧めします。
『自分では難しいかも、、、』とお思いの方は、第三者に検査を依頼されるとより安心して建築中は工事の進捗を見ることができるでしょう。
重大なミスなく工事を進める為には、第三者の目を光らせることも考えた方がいいかもしれません。