写真は、築15年の中古住宅の小屋裏をインスペクションしている際に発見した接合金物が正しく固定されていない欠陥事象です。
この金物は『くら金物』といい、たる木を母屋や梁(軒桁)、棟木に取付けるための金物です。取付位置は梁の外側、内側どちらに取付けていいものです。くら金物の役割は台風時などの強風による軒の吹き上りを防止するため(たる木の煽り止め)の補強金物で全箇所取付ける必要があるのです。
しかし、この中古住宅ではくら金物は使用されているのにもかかわらず釘による固定が全くなされていなかったのです。これでは強風時に軒が吹きあがってしまい屋根を損傷させてしまう危険性が高まります。
くら金物は、告示第1460号第3号のその他の構造耐力上重要な部分の接合に用いる金物で、固定釘は太め釘ZN40という専用釘による固定が正しい固定法となります。
そのほか、くら金物と同じ役割をする「ひねり金物」、「折り曲げ金物」というもので固定されている場合もあります。内覧時に、もし小屋裏を覗くことがあれば『くら金物』が取付けられ、しっかり釘にて固定されているかどうかチェックしてみる必要があります。
後日お客さまから、この中古住宅を購入してからリフォーム時に「くら金物の未固定部分」もしっかり釘固定する工事も行った旨をご連絡をいただきました。こうした欠陥部分は放置せず是正しておけば安心して暮らすことができるです。