土地が広ければ、家は敷地(隣地)境界線から余裕をもって配置することができます。狭小地など限られたスペースで家を建てる場合は、敷地境界線ギリギリで家を配置しなければならなくなるでしょう。
一般的に建物は民法上、敷地境界線から最低50cm離さなければなりません。
しかし、50cm離せば、何も問題が起こらないかというとそうでもありません。思いがけない問題が起こることがあるため注意が必要となってくるのです。
例えばこんな問題が・・・
1.隣の家が境界線近くに既に建っていた場合、その住宅の窓の配置と同じ位置に窓を配置してしまうと、隣の家からの視線が気になり、その窓は“開かずの窓”になってしまうでしょう。また間取りに制約ができてしまい、希望の間取りにできないことも考えられます。
つまり、境界の近くに建物を配置させようとするならば、間取り作成の段階から、隣家に気を使わなければならないのです。
2.基礎工事の最中に、施工業者が隣地の土留め(コンクリートブロックなど)を壊してしまうかも可能性が少なからずあります。
このケースでは施工会社の責任なので特に問題は無いように思いますが、隣の方は業者はもとより、建築主に対しても不快感を抱く傾向があり、建築中、そして入居後も御近所関係もギクシャクするなんてことも・・・
3.工事中(特に基礎工事で)の振動により、隣地のブロック塀や建物の外壁に亀裂が入ったと隣家からクレームがあることも。
このケースでは、工事前の隣家の家屋調査を実施しておくと安心です。クレーム発生時に工事によって発生した亀裂なのかどうかが判別できます。原因が明確になる為、大きな問題へ発展する可能性は低くなるため調査をしておいた方がいいケースがあります。
4.庇(ひさし)の出が限定される。
現在、屋根の庇がないデザインの住宅が多くなってきました。庇の出が十分でない建物は直接雨や直射日光があたる面積が大きくなる為、外壁塗装等の寿命を短くさせる原因にもなっています。
5.外壁が塗装の場合、吹きムラ(塗装のムラ)が発生しやすくなる。
建設中の仮設足場が建物に近くなるため、適正な施工スペースが確保できないので吹きムラの原因になることがあります。
6.準防火地域の場合、網入り硝子にしなければならないサッシの本数が多くなり、コストUPにつながることも。
準防火地域では、2階以上の部分では敷地境界線から5mの範囲内にある開口部(サッシ)、1階部分では敷地境界線から3mの範囲内にある開口部(サッシ)のガラスは、網入り硝子にしなければなりません。
土地の大きさや計画により変わりますが、上記の問題が必ず発生しないとは限らないでしょう。よって敷地境界線から最低1m程度離すことができれば、こうした問題の多くは回避できるものと思います。
計画時のチェックポイントとして覚えておいて欲しいですね!